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 平成27年の労働者派遣法改正は、昭和60年に同法が制定されて以来の大改正となりました。

 特定労働者派遣事業の廃止、許可制への一本化、2つの新たな期間制限、派遣労働者のキャリアアップ、雇用安定措置などの改正内容は、従来の「適職を求める派遣労働者と人材を必要とする派遣先をマッチングさせる」という派遣労働者のあり方から、「派遣労働者が派遣労働者の資質を見極め、キャリアアップへと導いていく」という方向性の第一歩だといえます。

 派遣事業許可の許可基準は見直しが行われ、派遣元が事業を行い、派遣先が派遣労働者を受け入れるにあたって守らなければならない義務の範囲も拡大されています。新たな許可基準を満たさなければ派遣事業への参入は認められず、すでに許可を受けている事業所についても許可更新ができません。

派遣法改正案成立へ  働き手を代えれば無期限可能に

2015.6.11

   労働者派遣法改正案が成立する見通しになった。派遣法は、企業が無期限に派遣社員を受け入れられる仕事を通訳や秘書など「専門26業務」に限り、それ以外は最長3年に制限している。一方、今回の派遣法改正案では、どの業務も同じ職場で働ける期間を「原則3年」とする一方、企業は労働組合などの意見を聞くことを条件に、働き手を変えれれば業務内容に関係なく派遣社員を受け入れ続けることができる。背景には多様な働き方を広げようという政府の考えがあるが、逆に不安定雇用が広がるという指摘もある。派遣社員の待遇改善は進むのか。

 

 改正案は、業種によって企業が派遣を受け入れられる期間が異なる今の規制を変え、一律3年にする。規制がわかりにくいという経済界の声に応えた。

 同時に、規制の対象を「業務」から「人」に変える。このため、人を変えれば企業はずっと派遣を受け入れられるようになる。3年ごとに労働組合の意見を聞く制度が入るものの、「派遣が増える」と批判があるのはこの点だ。

 

 「労働者が取りかえられるだけになり、直接雇用につながらなくなる」。5月の下旬の厚労委の参考人の指摘に対し、「1人の労働者が同じ職場で最長3年働けるようにして、キャリアアップを考えてもらう」というのが政府の主張だ。

 

 一方、専門性が高いとされて期間制限がない26業務で働いている派遣社員は、派遣会社と無期契約にならない限り、職場を変わる必要がある。こうした労働者は約40万人いるとみられている。そこで懸念されているのが「雇い止め」だ。

 

 26業務の1つ、テレビカメラマンのアシスタントとして働く40代女性は、20年近く西日本のテレビ局に派遣されている。契約は半年更新。最近、26業務で働く同僚が3年で雇い止めになることが増えた。「法律が通れば簡単に辞めさせられてしまう」と不安を募らせる。

 

 改正案は、①派遣先に直接雇用を依頼、②派遣会社で直接雇用、③新しい派遣会社の紹介、といった措置を派遣会社に義務付けている。ただ、「年齢が高い人には、別に考えなければいけないリスクがある」との厚労委での意見もある。

 

(「朝日新聞」記事より抜粋)

 

関連リンク

厚生労働省:特設サイト「労働者派遣法の見直しについて」

 

 

 

 

 改正案には、そもそもの議論の論点である派遣労働者と派遣企業の待遇をできるだけそろえる「均等待遇」の原則が欠けたままとなって、派遣労働者の待遇が改善される見通しにはなりませんでした。

 また、特に26業務で働いている無期契約の派遣社員は、3年の有期雇用となるため、自分にあった職場をみつけられるという半面、派遣先の意向で待遇が左右されたり、失職の不安にさらされたりするという問題点が残りました。

 法律改正により、派遣労働者が不利益を被らないよう、派遣会社が中心となって派遣労働者の希望をできるだけかなえられるような対応が望まれます。

 

 なお、労働者派遣事業の多くを占める特定労働者派遣事業は、今後届出制から許可制へと変更となりますが、施行日(平成27年9月1日) 時点で特定労働者派遣事業を行っている(届出をしている)事業主は、施行日から3年間(平成30年8月31日まで)は、上記の許可を受けずとも、引き続き「派遣労働者が常時雇用される労働者のみである労働者派遣事業」(※現在の特定労働者派遣事業)を行うことができることになっております。

 

労働者派遣法改正案の骨子

 

①同じ派遣先の職場で働ける上限を3年に

②人を変えれば企業は派遣社員をずっと受け入れ可能

③派遣会社に「無期雇用」される派遣社員は、同 じ派遣先の職場でずっと働くことができる

④派遣会社に派遣社員への教育訓練など義務付け

⑤派遣事業をすべて許可制に

 

労働者派遣法

 

 職業安定法では賃金の中間搾取などを防ぐため「労働者供給事業」禁じていたが、その例外として1985年に制定された。

 当初は対象業務を絞っていたが、04年には製造業への派遣を解禁。08年には派遣社員が200万人を超えたが、同年秋のリーマン・ショックで「派遣切り」が社会問題化した。

専門26業務一覧

 

ソフトウェア開発 ▽機械設計 ▽事務用機器操作 ▽通訳、翻訳、速記 ▽ファイリング ▽調査 ▽財務処理 ▽取引文書作成 ▽デモストレーション ▽添乗 ▽受付・案内 ▽研究開発 ▽事業の実施体制の企画、立案 ▽書籍等の制作・編集 ▽広告デザイン ▽OAインストラクション ▽セールスエンジニアの営業、金融商品の営業 ▽放送機器等操作 ▽放送番組等演出 ▽建築物清掃 ▽建築設備運転、点検、整備 ▽駐車場管理等 ▽インテリアコーディネーター ▽アナウンサー ▽テレマーケティング ▽放送番組等の大道具・小道具 ▽水道施設等の設備、非破壊検査用機器の運転等(区分は28業務)

 

 

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