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「成城石井の創業」読後感


東京を中心に展開している食品スーパー「成城石井」の創業者石井良明氏の著書「成城石井の創業」を読みました。

この本の帯書きには、「成功するベンチャービジネスのヒントが満載」「一番良い商品を効率よく、成城石井ブランドを育てたエレガントで合理的な経営の秘密」などと書かれており、最後まで、大変興味深く読むことができました。

これほど細かに内情を公開してよいものなのかと思われるほど、具体的な内容に溢れていました。店舗レイアウトや品揃え、人事管理、出店戦略などの詳細な内容にまで言及して記述しており、それらには、基本となる事業コンセプトに基づいた一貫した方向性と細かな配慮や工夫が随所に感じられました。そして、このような経営をしなければここまで成長することはできないことを改めて思い知らされました。

当社は、地域の食料品店からスタートしましたが、スーパーマーケットの時代の到来が叫ばれる中、近隣にいち早く出現したスーパーマーケットに対抗する必要性に迫られました。

そうした中で、「よその店にない商品と地域性に合わせた品揃え」というコンセプトにより差別化を図ったうえで、スーパーマーケットに業態変更を果たしています。

そこから2号店の出店まで要した年の歳月は決して無駄ではなく、その後の成長とブランド化を支える基盤づくりのためには必要な期間であったという記述は、なるほどと思わせるものがあります。

本書の中で、大切なものは、事業コンセプトであると繰り返し強調しています。

それがしっかりしているからこそ、かなりの出費がゆえに判断に躊躇するような投資案件であっても、コンセプトの実現に資するものであれば、次々と迅速な意思決定ができたのだと思われます。

あとがきでは、「スーパーマーケットの経営はもう懲り懲り、二度とやりたくない」との言葉も印象的でした。

それほど経営者として多岐にわたる問題に対応しながら経営の舵取りをしなければならなかった状況がどれほど激務であるかは、本書を通して強く感じられました。

現場の第一線を退かれたからこその率直な気持ちであると推察します。

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