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「聖の青春」~鬼才・村山聖、29年の魂の軌跡


将棋界では、新型コロナの影響による中断後6月にようやく対局が再開され、各タイトル戦の対局が目白押しです。

あまり将棋をご存知ない方でも藤井聡太七段の名前は、聞いたことがある方は多いでしょう。今まさに大注目の棋士の1人です。

ここ最近の将棋は、Abemaテレビの専門チャンネルで対局の様子が終日放送されていたり、将棋のAIソフトにより形勢評価や次の候補手が示されていたり、比較的初心者でも分かりやすく親しみやすいものになっています。

そうしたことから、私もAbemaテレビで注目の対局を見る機会が多くなっています。

約20年程前、村山聖(さとし)という棋士が、名人挑戦を目前にA級在位のまま29歳の若さでこの世を去りました。

谷川浩司を倒して名人位に就くことに執念を燃やした羽生善治世代の棋士です。

その短くも全精力を将棋に懸けた生涯を描いた「聖の青春」という本を久しぶりに最近読み返してみました。

「村山は幼くしてネフローゼを患いその宿命ともいえる疾患とともに成長し、熾烈で純粋な人生をまっとうした。彼の29年は病気との闘いの29年でもあった。(中略)

少年は限りない夢を思い描き、青空を自由にそして闊達に飛び回った。その空ははるかな名人につづいている空だった。その空を飛ぶために、少年はあらゆる努力をし全精力を傾け、類いまれな集中力と強い意志ではばたきつづけた。

夢がかなう、もう一歩のところに村山はいた。果てしない競争と淘汰を勝ち抜き、村山は名人への扉の前に立っていた。」(プロローグより)

将棋を指すことの無限の可能性とすばらしさ、それに全身全霊を傾けた1人の少年の人生には、何度読み返しても感動を覚えずにはいられません。

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